VP社事務所新築計画-プラン変遷
奈良県奈良市、電気事業者様の新社屋プロジェクト(VP社事務所新築計画)。
今回の社屋計画では、最終案に至るまでにいくつかのプランを検討しました。
ここでは、第1案から最終案まで、どのように考え、どんな判断をしてきたのかを振り返ってみたいと思います。
第1案|要望をそのまま形にした、スタート地点の案

計画のスタートにあたり、
お施主様から最も強くご要望いただいたのは、
「駐車スペースの最大化」でした。
そのため第1案では、西側道路に面したスペースをフル活用。
インナーガレージと青空駐車を組み合わせ、
台数を確保しつつスムーズな動線を描けるよう計画しました。

一方で、この敷地が持つ最大のポテンシャルは、
南側に広がるのどかな田畑の風景です。
駐車計画という機能面を優先しながらも、
決して「閉じた社屋」にはしたくない。
周辺の開放的な環境をいかに内部へ取り込み、
働く人にとっても心地よい場所にできるか。
その両立を模索した、試行錯誤の第一歩となる提案です。
第2案|条件と向き合いながら、方向を探った案

西側道路に接する「水路」の制限により、
当初の駐車計画を白紙に戻し、ゼロから再考したプランです。
南側に広がる田畑の風景を主役に据え、
大きな開口部を配置。
周囲の豊かな環境を、より積極的に室内へ取り込む構成としました。

一方で、インナーガレージのシャッターが道路に対して、
やや閉塞感を与えてしまい、少し「内向き」な印象が残る結果に。
機能性は満たしているものの街とのつながりという点では、
さらなるブラッシュアップの余地を感じた案でもありました。
最終案|ひらかれた佇まいを選び直した、最終案

お施主様との打ち合わせを重ねる中で見えてきた、
「道路側への開放性がほしい」という想い。
その声を受け、再び設計を練り直しました。

辿り着いた答えは、思い切ってインナーガレージをなくすこと。
あえて「倉庫棟」と「事務所棟」を明確に切り離し、
その間にポーチを挟む構成としました。
用途の違いがそのまま建物の豊かな表情となり、
道路に対しても、街に対しても、すっと開かれた軽やかな佇まいに。
優先したのは、当初の目的であった「駐車台数」という数値ではなく、
「人が集まり、そこが心地よい居場所になる」という本質的な価値でした。
お施主様と共に、迷い、考え抜き、ようやくたどり着いた最終案です。
おわりに|要望をそぎ落とすということ
この計画は、要望をそのまま形にすることから始まり、
条件や違和感と向き合いながら、
何を残し、何を手放すかを考え続けたプロセスでした。
最後まで変わらなかったのは、
周辺環境を活かし、居心地の良い空間をつくること。
要望を吟味し、そぎ落とした結果、
機能がそのまま建築の形となって現れた——
そんな社屋になったと感じています。
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カテゴリ VP社事務所新築計画
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